伊豆高原

2004.05.22(土)

朝、起きると思ったよりも涼しい。これから向かう先は伊豆高原。高原というからには標高の高い場所でここよりも涼しいかもしれない。半袖の服を長袖に切り替えて出発する。これが後になって正解だと身に染みて思うことになる。

最寄の駅から電車に乗り、熱海駅に到着する。やはり涼しい。これから伊東線に乗り換えるのだが、念のためホームの時刻表でこれから乗る列車を確認してみる。あれ?ないぞ。間違えて特急に乗ってしまうと値段が3倍ぐらいになるはずなので、ちょっと不安になって駅員に聞いてみると『さっきとは違うホームから発車する』ということだった。ホームの時刻表ってそこから出発する列車のことしか書いてなかったんだぁ。

写真:熱海駅

少し時間があったので暇つぶしと飲み物が恋しくなってドトールコーヒーデビューしてみた。エスプレッソを頼もうとしてSサイズを頼もうとしたら「Sサイズはデミタスカップに半分ですけど」と言われてMサイズに変更。一緒にアップルパイと奥様はロイヤルミルクティー。逆にロイヤルミルクティーはMよりもSで良かったと言い出す。見本のカップが置いてあるといいんだけどなぁ。

というわけで予定通りの列車に乗り込む。乗り込んだのはいいが、やけに内装が豪華になっている。コレって普通列車だよなぁ?。しばらくして分かったのだが普通乗車券で乗れる「リゾート21」という列車らしい。何が何でも窓から海の眺めを堪能しますと言わんばかりの、窓に向かって横に並んだシートが印象的であった。しかし海はこのすばらしい天気(泣)のせいでボヤーッとガスがかかっていた。結構トンネルが多く感じたのだが、列車によってはトンネルに入ると天井に星空が出てくる列車もあるのだとか。

写真:リゾート21車内

伊豆高原駅に着く。ここからはバスで移動することになるのだが、雑誌からはバスの情報があまり満足に得られなかったので、現地の案内所で情報収集することにした。が、ここで手に入れたバスの時刻表も、不慣れな人にとってはちょっと見にくいものであった。昼食はこの辺りでとることにしていたが、駅の建物の中でも店が並んでいるので、その中のラーメン屋に入った。チャーハンと味噌ラーメン、どちらもうまかった。

バスに乗って伊豆高原七丁目へ。坂が結構きついところであると実感。これではレンタサイクルなんてとんでもない。レンタル原付とかカートとかがあるといいかも。あ、今は電動アシストがあったか。

バス停からちょっと坂を上ると最初の目的地、猫の博物館が見えてきた。アーチの上には博物館のキャラクターの猫が、庭にも猫の噴水(というより小便小僧)・石像がある。玄関に入ると猫のハリボテが受付・・・というわけではないが出迎えている。もちろん実際の受付は人間である。1階は昔の世界の猫科の標本がジオラマ形式でたくさん展示されている。トラというのは住んでいる場所によって名前や大きさが変化しているだけで、種類的にはどれも同じらしい。標本は精悍な顔やかわいい顔もあるが、必要以上にやたらコワイ顔や妙にブサイクな顔もいる。

写真:猫の博物館アーチ 写真:猫の小便小僧・石像 写真:猫の受付?!
写真:猫の博物館1F 写真:猫の博物館1F

2階のうち半分は現在の世界の猫(本物)がいっぱいいる。猫だらけの動物園といった感じだ。基本的にはケージの中にいるのだが、おとなしい猫はリードにつながれているだけで外に出ているので直接触ることもできるし、ふれあいコーナーではリード無しの猫もいる。ロシアンブルーはもともとおとなしい種類だと聞いていたが、ここにいたのもやはりおとなしい猫であった。他にはよく鳴く猫もいたが。

写真:トラ猫(忘れた 写真:たぶんマンクス 写真:ラグドール
写真:ノルウェイジャン 写真:ロシアンブルー

2階の残り半分は世界の猫科のキャラクターのぬいぐるみや人形、猫をテーマにしたジオラマ模型が展示されている。猫からライオン・ドラえもんまで含むので、とにかくぬいぐるみや人形の数はすごい。また猫神社があって「猫みくじ」もある。

猫好きにはたまらないが、猫嫌いの人は行くところではない。というか行かないだろうけど。女性用トイレは館内にあるが、男性用はショップから裏庭に出たところにある。本当にあるのか気になってしまうし、よく出口と間違えられるようだ。ちなみに出口と入り口は共通であった。受付の兄ちゃんがパソコンに向かっていたが、ショップ側から見るとクロンダイクで遊んでいたのがバレバレで、パソコンには『ネット禁止』とシールが貼ってあった(笑)。ここを出たら坂を少し下って宿に向かう。

宿は『プチホテル ホリディ伊豆高原』。白っぽい建物だが、一見、美術館だと思ってしまう外観である。玄関に入ってオーナー(と思われる男性)に案内を受ける。偶然この日は他の客がいないらしい。後でこの事がすごいことだと気がつくことになる。部屋もこの辺の宿だとどこも見晴らしがよさそうだ。ジャグジーの内風呂と露天風呂があるが、露天風呂は夕食の後から入れるというので後のお楽しみということで、とりあえず少し休んで内風呂に入る。雑誌で見た通りの風呂であり、なかなか洒落たいい感じだ。ただタオルが備えてないので部屋から持って来なくてはならないのに、その説明が無かったようなので気をつけよう。

写真:宿からの見晴らし

風呂から出て部屋でのんびりテレビを見ていると、電話で夕食の準備が出来たと連絡が入る。食堂に来るとテーブルに自分達の分の席が用意されている。生ハムとメロンの前菜。初めて食べたがうまかった。腹が減っていたこともあったとはいえ、こんなに美味しいものだったとは。で、オーナーが皿を取り替え、次の料理を運んできてくれる。この時、他の客がいたら何とも思わなかっただろうが、食べている自分達のために料理を運んでくれている。まさに王様状態なのである。食事も風呂も、宿の人たちは自分たちだけのために動いてくれているのである。緊張&恐縮であったが、これも運が良かったのだと思って料理を楽しんだ。2品目のかぼちゃのスープに続いて、魚料理・肉料理・デザートに紅茶が出てきた。食事をしていると、奥のほうから焦げ茶色の大きな猫がやってきて、別の椅子の上にちょこんとすわって眠り始めた。オーナーの話だとここのボス的存在らしい。

食事を終えて今度は露天風呂にはいる。と思ったが向かう途中でプレイルームなる部屋がある。プレイルームといっても旅館にあるような施設があるわけではなく、テレビと応接セットにちょっとしたボードゲームが置いてあるだけだ。奥様はオセロに興味を持ったようで、オセロをやってみた。ゲームも後半にさしかかった頃、露天風呂への通用口に何か気配を感じた。見ると、長毛で茶トラな感じの猫が1匹「入りたい」と言わんばかりにニャーニャー鳴いている。たぶんここの猫だろうと思ったが勝手に入れていいものかどうかわからなかったので、宿の人に尋ねようとしたがどこにもいない。まぁ猫専用の玄関があるはずなのでここは我慢してもらった。

と、その時点で風呂に入るところだったのを思い出してテレビをつけたらもう9時過ぎ。露天風呂は10時位までにしてくれと言われていたのであわてて露天風呂に向かう。建物を出て小屋に入ると脱衣所と洗い場、そして岩風呂がある。こちらも雑誌で見た通りで2〜3人が余裕で入れそうな位の広さがある。もちろん小屋は鍵をかけられるようになっている。お湯に浸かったところで「ニャー」。さっきの猫が小屋の壁の隙間からヒョコヒョコ顔を出してきた。思わぬ登場に笑いだしてしまった。

風呂からあがってさっきのオセロの続きを開始。結果は予想通り私の負けである。オセロの駒が足りないので最後までやったらわからないと言われたがどうか。

明日に備えて寝る。

2004.05.23(日)

次の朝。やっぱり天気はすっきりしない。天気予報もかなり裏が出た。

とりあえず朝食。目玉焼き・ハム・サラダのプレートに・・・中華風のパン?。サラダなどを挟んで食べたのだが初めて食べる味ではある。おいしかったからいいけど。食べてる最中も夕べの猫が定位置で寝ている。と、そこへもう1匹猫がやってきた。ロシアンブルーのMIXらしい。てくてくとやってきて奥様のそばの床でちょこんと座った。「かわいい〜」と奥様が撫でたりしていたが、しばらくしてまた奥に帰っていった。まるで「この度はご利用頂きまして有難うございました」と挨拶でもしているかのようで、おとなしくてお利口なかわいい猫であった。

さて支度も済んでバスの時間も気にしつつ会計をしたところ・・・二人で2万円いってない(税込)!。安いではないか。他に客がいなくてオール貸切状態だったのはたまたま運が良かったとしてだ。今回この宿を選んだのはたまたま場所が良かったのと露天風呂があったからで、宿の予算も12000円〜13000円位は考えていたのだ。まあ事前の調査で1万円位なのは分かっていたが、思わず計算間違いではないかと思ってしまった。というわけで当サイトページではこれまで宿の紹介はしてなかったのだが、自分のためにも宿の名前を出しておく。

写真:部屋の鍵

宿を出てバスに乗る。奥様の希望でメルヘンの森美術館に向かう。理想郷バス停で降りると昔に社員旅行で行ったガラス工芸美術館が。道に迷ったかと不安になりながら坂を下りていくと、メルヘンな建物がありました。入り口から入ると目に飛び込んできたのが小柳ルミ子と川島なお美のツーショットの写真。まず2階からご覧下さいとのことで階段を上る。おおた慶文やレイモン・ペイネの作品をはじめいろいろな作品が展示されていた。おおた慶文の絵に描かれている女の子たちって誰かアイドルに似ているんだよなぁ。またレイモン・ペイネの絵はメルヘンの世界ではあるのだが、よーく見ると可笑しくて笑える要素も含まれていると思う。が、ちょっとお子様には見せにくい絵もあるんだよなぁ。

なんだかんだでお昼になるので、次の目的地に向かう途中でうどん屋に入った。自分は鴨南うどん、奥様は稲庭きのこうどん。自分はどうやら讃岐うどんが好きらしいことに気がついた。

今度は自分の希望で野坂オートマタ美術館に。オートマタとはフランス語で自動機械人形…からくり時計の人形から発達したものだそうだ。チケットの人形写真からして怪しい雰囲気だが、やはり入り口に怪しい人形が立っていた。誰かに似ているような気がするのは気のせいだろうか。中に進むと人形が並び、その歴史が紹介されている。人形は展示されているだけなのだがDVD映像で動いている様子も見ることができる。見た目もそうだがストーリーもヘンテコリンなものがあるようだ。と、そこへ美術館の係員・・・というよりどうやら別格の男性が現れて、「今日だけ特別です」と目の前で人形を動かしてくれた。なかなかうまく動くものである。なかには鳥のさえずりも「ふいご」と笛を使って見事に表現しているものもある。

オートマタ美術館のチケット

最後のほうで実演コーナーになった。2つの椅子でアクロバットをするピエロ,ティータイムにお茶を飲むおばさん,柱を登り、ぐるぐる回る鞄を取ってくる人形(説明しづらい)を実際に動かしてもらった。鞄を取ってくる人形はUFOキャッチャーのような使われ方をしていたということで、それを使ってささやかなプレゼントの抽選が行われた。鞄には1〜12までの数字が書いてあるので、その誕生月の人が当たりとなる。ランダムに選ばれた数字は5と8。自分は8月生まれ。当たりである。バラの花の石鹸細工のマグネットを頂いた。観客が10人程度のうち当たりは3〜4人。今回はあまり確率は低くなかったようだ。

最近はロボットがテレビに出てくるようになったが、オートマタというものも古くからあるわりには内部の機構を見ると新鮮である。それでいて美術品としても価値が高いものばかりであった。奥様も以外に面白かったと言っていた。ちなみに内部では複雑なカムが絶妙なタイミングでロッドを動かしている。

バスに乗って伊豆高原駅に戻ってきた。帰る頃になって初めて気がついたのだが、駅の広場に足湯があった。ちょっと寒いくらいだったので入ってみたかったのだが、満席(?)だったのであきらめた。小腹が空いたのであんぱんとチョコパンを買って待合室で食べる。普段はあまり買って食べないあんぱんだが妙にそのあんぱんが気になって食べてみたら甘過ぎずおいしかった。そんなことはどうでもいいが。帰りは残念ながら熱海までは普通の列車だった。

写真:伊東線の車内

熱海駅に着いたところで夕食をとろうということで途中下車し、駅前で目に付いたやや小さなレストランに入った。おぉ!昔懐かしの自動販売機占いマシンチューリップ型のナプキンがっ。今となってはなかなか見られないものが置いてある。オムライスとエビピラフを頼んだ。どちらも味は濃すぎず、しかしバターのようなコクがある感じでおいしかった。ちょっと子供の頃のレストランを思い出させる店であった。

写真:ビンの自動販売機 写真:占いの自動販売機 写真:チューリップ型の紙ナプキン

閉店したキオスクの押し寿司に後ろ髪を引かれながらも電車に乗って帰宅した。


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